「仕訳って何?」 「借方・貸方って、借りる・貸すってこと?」
簿記3級の勉強を始めると、最初にぶつかる壁がこれです。
私も最初は意味を覚えようとして、全然わかりませんでした。
でも、あることに気づいてから一気にスッキリしました。
ひとつの行動には、必ず2つの動きがセットで起きている。それを左右に分けて書くだけ。
この記事では、私が実際につまずいた経験をもとに、仕訳の基本をできるだけわかりやすく解説します。
「難しそう…」と思っている方も、読み終わる頃には「なんだ、そういうことか!」と思ってもらえたら嬉しいです。
そもそも仕訳って何?
仕訳とは、お金の動きを左右に分けて記録することです。
例えば、カフェでコーヒーを500円で買った時のことを考えてみます。
この「コーヒーを買った」というひとつの行動の中に、実は2つの動きが起きています。
- 現金が減った
- そのお金の使い道は、コーヒー代だった
ひとつの行動なのに、「お金が出ていった」ことと「何に使ったか」の2つがセットになっていますよね。
この2つを左右に分けて記録するのが仕訳です。
「なんで左右に分けるの?」と思うかもしれません。
理由はシンプルで、左右に分けることで、お金の流れが一目でわかるからです。
家計簿をイメージするとわかりやすいかもしれません。収入と支出を分けて書くと管理しやすいですよね。仕訳もそれと似たような考え方です。
なぜ、ひとつの行動に2つの動きがあるの?
仕訳でいちばん最初に「ん?」となるのが、ここだと思います。
「コーヒーを買っただけなのに、なんで2行も書くの?」
理由は、お金には必ず「出どころ」と「行き先」があるからです。
コーヒーを買った時は、お金が「財布から出ていって(減った)」、その代わりに「コーヒー代に変わった」。
お金が動けば、必ずもう片方に対になる動きがある。だから仕訳は、いつも左右ペアで記録します。

最初は『1つのことなのに2行書くの面倒…』って思ってた。でも”お金が出たら、必ず行き先がある”ってわかってから、2行で1セットなのが自然に思えてきたよ。
借方・貸方って何?
仕訳の左側を借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)といいます。
ここで多くの人がつまずきます。
「借方って、借りるってこと?」 「貸方って、貸すってこと?」
違います!
借方・貸方は、昔の帳簿の名残でついた名前です。今は意味よりも左右のラベルとして覚えた方がずっとラクです。
「借方=左」「貸方=右」。まずはこれだけでOKです。

私も最初、借方=借りるって意味だと思って必死に覚えようとしてた。でも『意味じゃなくてただの左右の名前だよ』って知った時、一気に気がラクになったよ。
仕訳のルール:5つのグループを覚えよう
仕訳をマスターするには、まず5つのグループを覚えることが大切です。
簿記では、すべての取引を5つに分類します。
① 資産 現金・預金・売掛金・備品など 会社や個人が持っているもの
② 負債 借入金・買掛金など 返さなければいけないもの
③ 純資産 資本金など 資産から負債を引いた残り
④ 費用 仕入・給料・家賃など お金を使ったもの
⑤ 収益 売上・受取利息など お金が入ってきたもの
さきほどのコーヒーの例だと、「現金」は①資産、「コーヒー代」は④費用にあたります。ひとつの行動の中の2つの動きが、それぞれどのグループかを見ていくわけですね。
各グループの左右のルール
5つのグループには、それぞれ左右のルールがあります。
| グループ | 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|---|
| 資産 | 増加 | 減少 |
| 負債 | 減少 | 増加 |
| 純資産 | 減少 | 増加 |
| 費用 | 増加 | 減少 |
| 収益 | 減少 | 増加 |
この表を見ると「うわ、10個も覚えるの…」と感じるかもしれません。
でも、全部を丸暗記する必要はありません。 覚えるのは、たった1つでいいんです。
覚えるのは「資産は、増えたら左」だけ
まずこれだけを、しっかり頭に入れます。
資産(現金など)が増えたら、左(借方)。
「お金が入ってきたら左」と覚えると、いちばん直感的です。
あとは、ここから芋づる式に出てきます。
- 資産が増えたら左 → だから資産が減ったら右(逆だから)
- 負債は資産と反対の性質 → だから負債が増えたら右
- 費用は「お金を使う=現金が出ていく相手」→ 費用が増えたら左
- 収益は費用の反対 → 収益が増えたら右
5つのグループは、資産↔負債、費用↔収益が、ちょうど反対の位置で対になっています。
だから「資産は増えたら左」という軸さえ揺るがなければ、残りは「逆だから」「反対だから」で導けるんです。
10個覚えるのではなく、1個を軸にして残りを思い出す。これなら、試験中にド忘れしても復元できます。

全部覚えようとしてた時はしんどかったけど、『現金が増えたら左』の1個だけ握っておけばいいって気づいてからラクになった。あとは解きながら自然に手が覚えてくれるよ。
仕訳の3ステップ
仕訳は、この3ステップで考えると整理しやすいです。
ステップ① ひとつの行動の中で、2つの動きを見つける
ひとつの取引には、必ず2つの動きがセットになっています。まずはその2つが何かを書き出します。コーヒーなら「現金が減った」「コーヒー代を使った」の2つですね。
この2つの組み合わせは、取引によっていろいろです。片方が増えて片方が減ることもあれば、両方とも増えることも、両方とも減ることもあります(このあとの例で出てきます)。今は「2つの動きがあるんだな」と気づければOKです。
ステップ② その2つが、5つのどのグループかを確認する
現金なら資産、コーヒー代なら費用、というように分類します。
ステップ③ グループのルールに当てはめて、左右に振り分ける
グループのルール通りに借方・貸方に記入します。
ここで1つ注意です。「増えたら左、減ったら右」と単純に決まるわけではありません。同じ”増えた”でも、グループによって左か右かが変わります。(資産が増えたら左、でも負債が増えたら右、というように)
だからこそ、ステップ②でグループを見分けることが大事になるんですね。最初は前の表を見ながらで大丈夫です。
具体的な仕訳の例
実際に例で確認してみましょう。
例1:現金1,000円で文房具を買った(片方が増えて、片方が減るパターン)
何が動いた?
- 文房具を買った(消耗品費という費用が発生)
- 現金(資産)が減った
仕訳
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
※文房具のような少額の事務用品は、「使ったらなくなるもの」として消耗品費(費用)で処理します。モノが手元に残るので「資産では?」と感じるかもしれませんが、簿記では少額のものは費用にするのが基本です。
例2:商品を10,000円で売り、現金で受け取った(両方とも増えるパターン)
何が動いた?
- 現金(資産)が増えた
- 売上(収益)が増えた
仕訳
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 10,000 | 売上 | 10,000 |
例3:銀行から5,000円借りた(こちらも両方とも増えるパターン)
何が動いた?
- 現金(資産)が増えた
- 借入金(負債)が増えた
仕訳
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 5,000 | 借入金 | 5,000 |
※金額は説明用にわかりやすくしています。
同じ「増えた」でも、現金(資産)は左、借入金(負債)は右に分かれていますね。これがステップ③でお伝えした「グループによって左右が変わる」の実例です。
例4:借りていた5,000円を現金で返した(両方とも減るパターン)
例3で借りたお金を、今度は返してみます。
何が動いた?
- 借入金(負債)が減った(返す義務がなくなった)
- 現金(資産)が減った(手元から出ていった)
仕訳
| 借方(左) | 金額 | 貸方(右) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
こちらは両方とも「減った」ケースです。それでも、借入金(負債)は減ったら左、現金(資産)は減ったら右、とグループのルール通りに左右へ分かれます。「両方減る」でも、ちゃんと左右ペアになるんですね。
ちょっと寄り道:これって、貸借対照表とかの前の話だよね?
ここまで読んで、「仕訳って、貸借対照表や損益計算書の前の段階だよね?」と思った方。その理解、バッチリです。
簿記3級の全体の流れは、ざっくりこうなっています。
取引が起きる → ① 仕訳(借方・貸方に分ける)→ ② 集計する → ③ 貸借対照表・損益計算書ができる
この記事で扱っているのは、①の仕訳だけ。貸借対照表や損益計算書は、仕訳をためて最後に集計して作るものなので、まだ先の話です。
料理でいうと、仕訳は「材料を切る下ごしらえ」、貸借対照表・損益計算書は「できあがった料理」。今は下ごしらえを覚えている段階なので、完成料理のことはまだ気にしなくて大丈夫です。
ちなみに、さっきの5グループは最後にこう分かれていきます。
- 資産・負債・純資産 → 貸借対照表へ
- 費用・収益 → 損益計算書へ
今グループを覚えておくと、この2つの表を学ぶ時にスッとつながりますよ。
仕訳を覚えるコツ
① とにかく問題を解く
頭で理解するより、手を動かして問題を解く方が早く身につきます。 最初は間違えて当然。繰り返すうちに自然と覚えてきます。
② 「資産は増えたら左」だけは握っておく
迷ったら、この1個に立ち返ります。現金が増えたら左。ここから「逆だから」「反対だから」で他のグループも導けます。
③ 項目がどのグループかを覚える
仕訳で迷う一番の原因は「この項目は資産?費用?」とわからなくなることです。 よく出る項目のグループを覚えておくと、仕訳がスムーズになります。
④ 表を見ながら解いてOK
最初から暗記しようとしなくていいです。 最初は左右のルールの表を見ながら解いて、徐々に覚えていきましょう。繰り返すうちに、見なくても手が動くようになります。
私が使っている教材
仕訳の勉強には、動画講義がとても効果的です。
文字だけで読むより、講師が説明してくれる動画の方が圧倒的に頭に入りやすいです。
私が使っているクレアールの講義では、仕訳の考え方をわかりやすく解説してくれています。初心者でも理解しやすい内容なので、独学で行き詰まっている方にはおすすめです。
クレアールのレビューはこちらで詳しく書いています👇

まとめ
- 仕訳とは、ひとつの行動に起きる2つの動きを、左右に分けて記録すること
- お金には必ず「出どころ」と「行き先」があるから、いつも左右ペアになる
- 借方(左)・貸方(右)は意味じゃなくてラベルと覚える
- 資産・負債・純資産・費用・収益の5グループに分類する
- 左右は「増えたら左」と単純には決まらず、グループごとのルールで決まる
- でも覚えるのは「資産は増えたら左」の1個でOK。あとは導ける
- とにかく問題を解いて繰り返すのが一番の近道

最初は難しく感じた仕訳も、ルールがわかると少しずつ解けるようになってくるよ。 「ひとつの行動に2つの動き」——これだけ握って、一緒にゆるっと続けていこうね🌿

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